パソコンを選ぶ際に難しく感じるのが、パソコンの性能を示すパラメータが非常に多く、「何をどう見れば良いのかがわからないこと」です。
そのため、適当に選んで買ってしまうと、あとあと「パソコンの動作が重い」「パソコンは不便なものだ!」とネガティブな印象を抱く結果になってしまいます。
そこで、この記事では、比較的廉価PCに搭載されていることの多い、インテル製CPU「Core i3」について解説。
Core i3はCoreシリーズの廉価版という位置づけで、インテル製CPUのブランドから見れば、おおよそ中間的な性能を持つことが多いです。
Core i3(コア アイスリー)とは
価格の安いPC向けのモデル
Core i3とはアメリカの半導体メーカー「インテル」が販売するCPUのうち、Coreシリーズのもっとも廉価なラインナップを構成するCPUです。
インテル® Core™ i3 プロセッサーは、Core i7 や Core i5 の技術を応用して作った低価格型という位置付けにあります。性能は Core i5 より下ですが、その分価格を抑えることができるので、低価格なデスクトップパソコンやノートパソコンでの高いコストパフォーマンスを実現することができます。
特にノートパソコンではあまり高額ではないモデルにCore i3の省電力モデルが搭載されていることも多いです。
インテルのCPUラインナップにはいくつか種類がありますので、以下の記事で解説しています。
性能・価格・用途において中間的なモデル
Core i3のスペック的な違いは以下のウェブサイトをご覧になったほうが早いです。
主な特徴を挙げると、
- CeleronやPentiumなどの廉価CPUよりも高いクロック周波数 = 処理速度が速い
- ハイパースレッディング機能 = 同時処理性能の向上
- CeleronやPentiumなどの廉価CPUよりも多いキャッシュメモリ = 処理速度の高速化
など、全体的に速度の向上が図られています。
ただ、一方で、
- CPUのクロック周波数はCore i5~より低め
- 最新のCoffee Lakeを除けば、CPUコア数は2コアとCore i5~より少ない
など、上位シリーズに比べて一部性能がカットされています。
Core i3の特徴
メリット
性能と価格が中間的である
繰り返しますが、Core i3はインテルのCPUブランドの中で、中間的な性能を持つCPUです。
例えば、2018年6月4日現在で、デスクトップパソコン向けのCPUラインナップの価格を比較すると、
- Core i7-8700K BOX:40,708円
- Core i5-8400 BOX:20,110円
- Core i3-8350K BOX:20,269円
- Pentium Gold G5600:10,455円
- Celeron G4920:5,910円
※ツクモネットショップ販売価格
値段と性能を折半すると、だいたいこのクラスになりますよね。
ハイパースレッディング対応
2018年6月現在で最新の第8世代(Coffee Lake)のCore i3を除くと、現在発売されているCore i3は、すべてハイパースレッディングに対応しています。
従来CPUのコア一つに一つしか搭載していなかったコードを実行する装置を複数搭載してコードの処理能力を向上するものである
ハイパースレッディングは、1つのコアを擬似的に2つのコアに見せることで、アプリケーションの処理能力を向上させるための技術です。
Core i3はハイパースレッディング技術を搭載したCPUの中でも、最も安価に入手できるモデルです。
ハイパースレッディングを有効活用できるかはアプリケーション次第なところもありますが、大局的にはパソコンがさくさく動くようになる、と認識していただいて大丈夫です(上級者向けですが、この機能は利用者がON / OFFできます。用途によってはOFFした方が良い場合もあります)。
デメリット
コア数は2個と少ない
2018年6月現在で最新の第8世代(Coffee Lake)のCore i3を除くと、Core i3のCPUコア数は2個と、上位のCore i5やi7の半分しかありません。
コア数が多いほど処理能力の向上を見込めますので、その点ではCore i5やi7に劣ります。
先ほどのハイパースレッディングは少ないコア数をカバーするための技術なので、どうしてもパフォーマンス的には「Core i5・i7 > Core i3」となってしまいます。
余談:コア数2個のCore i3とコア数4個のCeleronはどちらが上?
コア数が4個のCeleronは1コアあたりの性能が低いため、「コア数が2個のCore i3 > コア数が4個のCeleron」となります。
コア数4個のCeleronは元々が「Atom」という省電力CPUから生まれているので、高い性能を発揮するよりも、いかに消費電力を抑えつつ、ストレスなく利用できるか、に焦点が当てられています。
Core i3とは設計思想が異なる、というわけです。
ここまでまとめると
- Core i3は中間的な性能と価格のモデル。ハイパースレッディングに対応
- 上位モデル(Core i5やi7)に比べてコア数が少ない点がデメリット。なお、コア数4個のCeleronよりは性能が上
Core i3でできること・できないこと
パソコンの構成次第でできること
動画編集・PCゲーム
Core i3を搭載するデスクトップモデルなら、動画編集も可能です。
ただ、動画編集は解像度が大きくなるほど大きなパワーを必要としますので、そもそも「グラフィックカード」という動画処理専用のCPU(GPUと言います)に任せるべきものです。
Core i3単独で動画編集するよりも、Core i3 + グラフィックカードの構成で実現可能です。
なお、例えば、Adobe Premiere Elementsの場合、4K映像(いわゆる4Kテレビの解像度と同等の超高画質映像)の編集にはCore i7以上の環境を求めています。
- SSE2をサポートする2GHz以上のプロセッサー(HDVまたはAVCHDの編集にはデュアルコアプロセッサーが必要、XAVC-S(筆者注:4Kフォーマットのこと)にはインテルCore i7プロセッサーが必要)
画質が高まるほどに、Core i3では難しくなる、というわけですね。
ノートパソコンの場合
なお、ノートパソコン向けのCore i3は動画編集にはあまり向いていません。
- そもそもデスクトップよりクロック周波数が低い
- ノートパソコンのグラフィックチップは最低限度であることが多い
音楽制作・イラスト作成
デスクトップパソコンのCore i3でライトな音楽制作やイラスト作成は可能です。
一方、ノートパソコンのCore i3ではあまり向いていませんが、できなくはないです。
例題として利用すると、イラスト作成や画像編集で利用されるAdobe PhotoshopのCPU動作要件は、2GHz以上のプロセッサー(CPUのこと)とあり、ノートパソコン向けのCore i3の定格周波数はそれを上回るものが多いです。
- Intel® Core 2 または AMD Athlon® 64 プロセッサー(2 GHz 以上のプロセッサー)
デスクトップ向けのCore i3は、世代の古いもの(2013年頃の第4世代以前)を除くと、定格周波数は3Ghzを超えるものがほとんですから、余力を持って編集できます。
複雑で凝った作品ほど難しくなるよ
いくらソフトの必要動作条件をクリアしていたとしても、複雑で凝った作品になるほど処理は重くなります。
「プラグイン」と呼ばれる、同時に併用するソフトが多くなったり、作品を表現するためのデータ量が多くなるからです。
これらの創作活動を行う際には、Core i5以上をオススメします。
できること
プログラミング
Core i3でもプログラミングは可能です。
昔、プログラマやっていたときは、Core i3のデスクトップマシンで開発していました。
Microsoft Officeなどの利用
Microsoft Officeなど、「オフィススィート」と呼ばれるアプリケーションは利用できます。
学校や会社のレポート・報告書を作る分にはCore i3でも問題ありません。
インターネット閲覧
Microsoft EdgeやChromeを用いたインターネット閲覧もできます。
もしもCore i3搭載のパソコンを高速化させるならば
パソコンを物理的にカスタマイズできる場合には、以下の方策で少しはカバーできます。
- メモリを増設する
- HDD搭載モデルの場合、SSDに切り替える
ただ、物理的なカスタマイズは当然お金がかかるので、それをやるよりかは新しいPCを買ったほうが早いです。
一方、ソフトウェアでのカスタマイズとして、
- Windows 8.1以前の場合、Windows 10にアップデートする
- 不要なアプリケーションをインストールしない
などが考えられます。
Core i3はFX・株取引に向いているか
金融商品名 | 向き・不向き |
---|---|
FX・株・先物 (デイトレ) | △ (デスクトップの場合○) |
株 (長期投資) | ○ |
投資信託 | ○ |
その他資産運用 | ○ |
Core i3はFXやデイトレのように、リアルタイムでの描画を伴う取引も可能です。
注意点として、一部のノートパソコン向けCore i3は性能よりも省電力性が重視されているため、DMM FX PLUSや楽天MARKET SPEED FXのような高いクロック周波数を求める取引環境での動作が難しいかもしれません。
まとめ
- Core i3はインテルのラインナップの中では中間的な性能を持つCPU
- 特にデスクトップパソコンに搭載されるCPUはクロック周波数も高いので、様々な用途に利用可能。デイトレも可能
- ノートパソコン向けのCore i3はハイパフォーマンスモデル(末尾がHやHQ)と省電力モデル(末尾がU)で性能差が大きい
筆者個人の感想としては、Core i3でも十分いろいろなことに使えるが、コア数が2と上位モデルの半分であるところに不安を感じます。
動画や音楽などのマルチメディアを扱うならば、4コア以上のCore i5以上をオススメしたいです。
動画製作や音楽製作を除いた日常利用(書類作成など)で、価格を抑えつつ、あまり不満を感じずパソコンを使いたいときに、Core i3クラスを選ぶと良いと思います。
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