パソコンを選ぶ際に難しく感じるのが、パソコンの性能を示すパラメータが非常に多く、「何をどう見れば良いのかがわからないこと」です。
そのため、適当に選んで買ってしまうと、あとあと「パソコンの動作が重い」「パソコンは不便なものだ!」とネガティブな印象を抱く結果になってしまいます。
そこで、この記事では、比較的廉価PCに搭載されていることの多い、インテル製CPU「Celeron(読み方は「セレロン」)」について解説。
これからパソコンを購入するなら、ぜひセレロンマスター(笑)になりましょう。
楽天市場でCeleron搭載モデルを見るCeleron(セレロン)とは
価格の安いPC向けのモデル
アメリカの半導体メーカー「インテル」が販売するCPUのうち、比較的廉価なパソコンに搭載されることの多いシリーズです。
インテルのCPUラインナップにはいくつか種類がありますので、以下の記事で解説しています。
性能は型番ごとにわずかに異なる
Celeronには、さらに型番の異なる、いくつかの種類があります(これは時期によって異なります)。
2018年6月現在で流通しているものとして、
- Celeron G3930(デスクトップ向け)
- Celeron G4900(デスクトップ向け)
- Celeron G4920(デスクトップ向け)
- Celeron N3450(ノート向け)
- Celeron N4100(ノート向け)
- Celeron J4105(デスクトップ向け・SoC)
- Celeron J4005(デスクトップ向け・SoC)
などがあります。
いっぱいあってややこしいですね笑
稀に例外もありますが、基本的には同じアルファベットならば、番号の大きいほうが後発でより優秀なCPUです。
アルファベットは設計思想など違いを示しています。例えばここに挙げたCPUなら、以下のようになっています。
- Gシリーズ:デスクトップ向け。従来の流れを引き継ぐ廉価CPUモデルで交換可能(= 自作ユーザー向け)
- Nシリーズ:ノートパソコン向け
- Jシリーズ:デスクトップ向け。マザーボードに固定された交換不可モデル
ハイパースレッディング機能などの省略
Celeronはハイパースレッディングなど、一部の機能が省略されています。
これら機能の省略は、一般的な利用には支障がありませんが、例えば、同機能を持つ上位版CPUに比べ、処理速度の向上を見込めないなどのデメリットがあります。
Celeronの特徴
メリット
安価なモデルである
最大の特徴は、Celeronは安価であることです。
例えば、2018年6月4日現在で、デスクトップパソコン向けのCPUラインナップの価格を比較すると、
- Core i7-8700K BOX:40,708円
- Core i5-8400 BOX:20,110円
- Pentium Gold G5600:10,455円
- Celeron G4920:5,910円
※ツクモネットショップ販売価格
と、より高性能なCore iシリーズやPentiumシリーズに比べてかなり安いことが分かります。
パソコンをできるだけ安く購入したいとき、Celeronの搭載されたパソコンは選択候補になるかもしれません。
安いのはなぜ?
後述しますが、Celeronが安い理由は、性能が低く抑えられているからです。
上述のとおり、一部拡張機能が省略されていることもあって安くなっています。
省電力である
Celeronは省電力なCPUです。
CPUの電力消費はおおよそ「TDP(熱設計電力)」という数値で表されます。
TDP(そのままティーディーピーと読む)はThermal Design Powerの略だ。日本語では「熱設計時消費電力」と訳されている。CPUなど半導体の消費電力を表す指標のひとつ。ヒートシンクや冷却ファンなど、CPU冷却機構の設計時に使われる想定消費電力(発熱)をあらわしている。
例えば、ノートパソコン向けに使われる「Celeron N3450」というモデルのTDPは6Wです。
一方、同じノートパソコン向けの省電力モデルである「Core i3-7100U」は、TDPが15Wと2.5倍になります。
省電力性は、特にノートパソコンにおいて、
- 形状の小型化(大きな冷却機能を有さないので)
- 小型化するので、重量の軽量化
- 省電力なので、バッテリーの持ちが良い
といった可搬性の高さに繋がります。
デメリット
処理能力は低い(= CPUの速さは遅い)
このように、安価で可搬性が良い特徴を持つものの、これらとトレードオフになるのが処理性能の高さです。
一般に、CPUは処理速度が速く、性能の高いもののほど、高額で、冷却装置が大型化し、バッテリー消費も激しくなる傾向があります。
Celeronはその真逆を目指しているCPU、というわけですね。
ここまでまとめると
- Celeronは低機能なので安い。価格の安さだけで安易に選ばないこと!
- 省電力性に優れているので、ノートパソコンの長時間の持ち運びに向いている
Celeronでできること・できないこと
できないこと
動画編集
Celeronで動画編集は諦めてください。
動画編集は解像度が大きくなるほど大きなパワーを必要としますので、そもそも「グラフィックカード」という動画処理専用のCPU(GPUと言います)に任せるべきものです。
Celeronでも320×240サイズ程度の動画なら編集できるかもしれませんが、これではサイズが小さすぎて一般的な視聴には向きません。
なお、筆者のCore i7(Celeronより遥かに高性能なモデル)でも、動画編集は結構重いです。
要するに、「Celeron PCを購入してYoutuber」はまず無理ってことです。
PCゲーム
数年前の2Dのゲームならともかく、近年のグラフィックの綺麗なゲームは動かないと思います。
ゲームも動画編集と同じで、グラフィックカードを求めるものが多く、Celeronで無理に頑張るものではありません。
これもおそらくできない
音楽制作・イラスト作成
Celeronは音楽制作やイラスト作成も向いていません。
ただし、デスクトップ向けのCeleronの場合には、あまり凝ったことをしなければできるかもしれません(かなりライトな使い方ならOK?かも)。
一方、Celeronが搭載されたノートパソコンでの音楽制作やイラスト作成には向きません。
参考までに、イラスト作成や画像編集で利用されるAdobe PhotoshopのCPU動作要件は、2GHz以上のプロセッサー(CPUのこと)とあり、ノートパソコン向けのCeleronの定格周波数はそれを下回ることが多いです。
- Intel® Core 2 または AMD Athlon® 64 プロセッサー(2 GHz 以上のプロセッサー)
バースト周波数(CPUコアに余力があるときに、使用中のコアの周波数を引き上げる機能)なら2.0GHzを超えるものもありますが、そこまで動作改善するものでもないです。
プログラミング
Celeronはプログラミングにもあまり向いていません。
やはり、デスクトップ向けのCeleronの場合には、あまり凝ったことをしなければできるかもしれません(かなりライトな使い方ならOK?かも)。
そこそこできる
Microsoft Officeなどの利用
Microsoft Officeなど、「オフィススィート」と呼ばれるアプリケーションはそこそこ利用できます。
ただ、オフィスを多重に開いて、ついでにYoutubeで動画を流しながら・・・みたいなことは苦手です。
インターネット閲覧
Microsoft EdgeやChromeを用いたインターネット閲覧はそこそこできます。
10年ぐらい前に「ネットブック」というインターネット閲覧程度しかできないミニパソコンが流行りましたが、今のCeleron搭載ノートはおおよそそれに匹敵するようなものだと感じます。
もしもCeleron搭載のパソコンを高速化させるならば
パソコンを物理的にカスタマイズできる場合には、以下の方策で少しはカバーできます。
- メモリを増設する
- HDD搭載モデルの場合、SSDに切り替える
ただ、物理的なカスタマイズは当然お金がかかるので、それをやるよりかは新しいPCを買ったほうが早いです。
一方、ソフトウェアでのカスタマイズとして、
- Windows 8.1以前の場合、Windows 10にアップデートする
- 不要なアプリケーションをインストールしない
などが考えられます。
CeleronはFX・株取引に向いているか
金融商品名 | 向き・不向き |
---|---|
FX・株・先物 (デイトレ) | × |
株 (長期投資) | △ |
投資信託 | △ |
その他資産運用 | △ |
FXやデイトレのように、リアルタイムでの描画を伴う取引には向いていません。
せめて、投資信託の取引のように、静的な画面で、時間に追われることなく取引できる金融商品なら、Celeron搭載モデルでも大丈夫です。
まとめ
- Celeronは低消費電力・安価で、特に可搬性のあるノートパソコンに向いているCPU
- 安価なぶんだけ性能は低め。動画編集や音楽制作・イラスト作成には向いていない。ほぼインターネット閲覧用
- FXや株式のデイトレードには不向き。投資信託や個人向け国債などの静的に取引できる商品を扱いたいときに
正直、Celeronはある程度、性能を理解しており、デメリットを承知で使えるユーザー向けだとも言えます。
初めてパソコンの手を出す個人が、Celeron搭載モデルを購入し、いろいろ夢を見るのには無理があります。
あなたがこれから初めてパソコンを購入するならば、ノート・デスクトップのいずれに関係なく、Celeronモデルよりも上位のCore iモデルを選ぶことをオススメします。
それでもCeleronモデルを購入するときは、「インターネットの閲覧以外は何もしない」という誓いを立てた上で購入なさってください。
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