パソコンを選ぶ際に難しく感じるのが、パソコンの性能を示すパラメータが非常に多く、「何をどう見れば良いのかがわからないこと」です。
そのため、適当に選んで買ってしまうと、あとあと「パソコンの動作が重い」「パソコンは不便なものだ!」とネガティブな印象を抱く結果になってしまいます。
そこで、この記事では、廉価PCに搭載されていることの多い、インテル製CPU「Atom(アトム)」について解説。
最初に述べておくと、モバイル向けのAtom CPUは開発を終えており、市場からはAtom CPUを搭載したパソコンは少なくなりつつあります。
現在販売されているAtom搭載パソコンは、2015~2016年に発表されたCPUを利用しているものが多いです。
Atom(アトム)とは
省電力を重視した、タブレット・ネットトップ向けCPU(でした)
Atomとはアメリカの半導体メーカー「インテル」が販売するCPUのうち、省電力性を重視したタブレット・ネットトップ(メールやウェブ閲覧程度の用途に使うPC)向けのCPUです。
高速起動、長い駆動時間、高解像度 Ultra HD 4K マルチメディア、および 1 秒当たりのフレーム数 (FPS) が多いストリーミングへの対応を実現したモバイルデバイス
インテルのCPUラインナップにはいくつか種類がありますので、以下の記事で解説しています。
上述のとおり、現在Atomは開発を終えたCPUで、モバイルPC向けには2015~2016年に発表されたCPUが供給されています。
タブレットや最廉価モデルに搭載されるCPU
2018年現在で流通するAtom CPUはおおよそ以下の3グループに分けられます。
- Atom x7 x5 x3プロセッサ:タブレットやネットトップ向け
- Atom Cプロセッサ:サーバー向け
- IoT向けAtomプロセッサ:組み込み向け
私たちが市販するパソコンでAtomの名を見るなら、それはAtom x7 x5 x3プロセッサのいずれかです。
例えば、3~4万円で購入できるASUSのTransBook Mini T102HAはAtom x5プロセッサを搭載していますね。
また、変わったところでは、スティックPCのCPUとしても使われることがあります。
余談:一部はPentiumやCeleronの名で販売
Atomシリーズとして開発されたCPUの一部はPentiumやCeleronの名で販売されました。
もしあなたが中古でCeleron N・JシリーズやPentium N・Jシリーズの搭載されたパソコンを手にすることがあれば、それは元はAtom系列のCPUだったことを表します。
Atomの特徴
メリット:省電力性を重視し、長時間の持ち運びに対応
そもそも、Atomは省電力性を重視して開発されたCPUなので、Coreシリーズとは設計思想が異なります。
一般にCPUは、性能が高いほど電力消費も激しいので、省電力性が重視されたAtomは性能が犠牲になっています。
例えば、先ほど例題に挙げたTransBook Mini T102HAのバッテリー持ち時間は公称値で12.6時間です。
この時間は、Android / iOSスマートフォンやタブレットに比べれば短いでしょうが、パソコン向けのOSとして発展してきたWindowsの稼働時間としては十分長いほうです。
デメリット:性能が低い
繰り返しますが、CPUは性能が高いほど電力消費も激しいので、省電力性が重視されたAtomは性能が犠牲になっています。
Atom搭載のパソコンは少なくとも、絵を描いたり、音楽を作ったり、動画を編集したりといった目的で使うものではありません
ここまでまとめると
- Core i3は中間的な性能と価格のモデル。ハイパースレッディングに対応
- 性能は犠牲になる代わりに高い省電力性が特徴。屋外での長時間利用などに
Atomでできること・できないこと
難しいことはたくさんある
- 動画編集
- 音楽作成
- 画像編集
- プログラミング
マルチメディア関係の用途には向かないと思ったほうが良いです。
そもそもAtom搭載のパソコン(Celeron N・JシリーズやPentium N・Jシリーズも含む)は、
- 画面(解像度)が小さい
- メモリが少ない
- ストレージにeMMC採用(= ファイルの保存容量が少ない)
など、CPU以外の性能もかなり低く設定されています。
そういうものだ、とわかって使うのでなければ、すぐにストレスがたまると思います。
できること
Microsoft Officeなどの利用(できればグーグルオフィススィートを)
Microsoft Officeなど、「オフィススィート」と呼ばれるアプリケーションは利用できます。
ただ、前述の通りにストレージの容量が少なく抑えられているので、グーグルドキュメントやスプレッドシートなど、オンラインで利用し、オンラインに保存できるアプリケーションを利用したほうが良いです。
インターネット閲覧
Microsoft EdgeやChromeを用いたインターネット閲覧もできます。
Atom搭載のパソコンを高速化させるならば
Atom搭載のパソコンは、CPUやメモリ、ストレージが全てマザーボード上に固定されていることが多いので、あまり拡張性は望めません。
どう頑張っても遅いものは遅いので、素直にもっと性能の高いパソコンを買ったほうが良いです。
繰り返しますが、Atom搭載パソコンのもっぱらの用途はネットの閲覧程度なのですから。
AtomはFX・株取引に向いているか
金融商品名 | 向き・不向き |
---|---|
FX・株・先物 (デイトレ) | × |
株 (長期投資) | ○ |
投資信託 | ○ |
その他資産運用 | ○ |
「ウェブサイトにログインして金融商品を売買する」ぐらいはできます。
投資信託や個人向け国債の売買用途だけなら、Atom搭載のパソコンでも十分な気がしますね。
まとめ
- Atomは低消費電力を重視したCPU。モバイル向けの開発は終えているので、今後採用PCは市場から減る見込み
- 用途はウェブサイトの閲覧程度に限定され、クリエイティブな用途には一切向いていない。性能が分かっている人向けのPCとも言える
- とにかく安価なので、屋外で投資信託や個人向け国債の売買する、みたいな用途なら使える
正直なところ、性能が分かっている人でないと、逆に使うのが難しいというか、「パソコン使えねー」と感じてしまうと思います。
タブレットPCならともかく、書類作成や動画視聴など、日常的な利用を目的とするパソコンを購入するなら、もっと性能の高いものを選ぶことをオススメします。
例えば、Core i3クラス程度のものとか。
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